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インドのホテル系ユニコーン企業 時価総額5000億!のOYO  の今後の予想と その他の宿泊系企業の関係について

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OYO全体概要】

 

OYO は インド発のホテル系スタートアップ企業です。

OTA (booking.com airbnb などの予約サイト) を自社アプリで内製し、自社OTA経由の売上が65%もあります。

ただし、自社のOTAだけではなく、他のbooking.comやExpediaなどのサイトにも掲載して、複数サイトで予約を最適な価格で埋めて、運営の在庫管理や顧客対応、清掃管理も自社で行う、オールインワン型のホテル内製型の企業です。

 

【日本国内の民泊の歴史

 

ホテルはそもそも機能的なベネフィットを推し進めた商品です。

立地で80%決まります。

残り20%は写真やレビューや価格です。

このホテルの強みを徹底的に突き詰めた企業がアパホテルです。国内で同様のモデルでは強すぎて誰も勝てません笑

 

しかし、アパホテルは1-2人用の部屋がほとんどな為(今、トリプルを増やしていますが。。)3人以上、もっというと5人以上の同時宿泊の部屋を作ると、アパホテルと競合になりません。

この3人以上マーケットで在庫を増やしながら日本国内で成功したのが、2014年以降のairbnbです。

 

しかし、airbnbは、OTA事業に専念し、運営管理は各ホストに任せる、いわば民泊界の楽天のようなビジネスモデルでした。

 

そして、実際の運営管理は、各ホストから、投資マネーがマーケットに流れてからは徐々に運営管理をする代行会社、という存在がマーケットに現れ始めます。

 

そして、エリアによっては飽和し始めたairbnbの在庫数が極端に減った事件が、

2018/6/15の住宅宿泊事業法のタイミングになります。

 

その後、単純に供給量の減ったマーケットに、機能的に在庫を確保すれば売れる美味しい時代がやってきました。

 

正しい場所に在庫を抑えれば確実に上手くいくやり方を享受できる資本のある運営会社に良い時代が今です。

が、それの脅威の存在となるのが宿泊界のAmazonの立ち位置の大資本の企業。

そう、OYOです。

 

airbnbの競合優位性に関する詳細は、下記の3年前に書いたブログにありますのでご覧ください )

whatcannotbereplaced.hatenablog.com

 

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OYOの競合】

 

OYO = On your own という意味合いからもあるように、インド国内にある宿泊施設の矛盾(チェックインしたら写真通りじゃない、質が低い、などのOTAと現実の乖離)を解決した意味合いが強い、インドのような国の抱える内需の問題解決に成功したモデルをそのまま他国に横展開しているモデルだと思いました。(そして中国では成功。)

 

当初のイメージでは、

 

•自社アプリの UI/UXがいけてるOTAを持っている

•ビックデータを駆使して、PMS、チャネルマネージャー、レベニューを内製して利益率UP

ホテル毎の基準を満たしたFFE (家具、什器、備品) を持つホテル

 

と言った感じでしたが、

 

ミートアップ参加後のイメージは

「宿泊界のAmazonです。

 

民泊運営代行会社

民泊清掃会社

宿泊系チャネルマネージャー

宿泊系PMSツール

 

が競合になります。

 

OYOのモデルはAmazonリテール(Amazon楽天のようなマーケットプレイスもやっているが、メインはAmazon自社で抱える在庫で、小売のデータを蓄積し、競合優位性獲得後の戦略)なので、

OYOが日本のホテルの在庫数を確保できてくると、OYOのビックデータの量は増加する為、運営する価格調整の精度は上がり、オールインワンモデルなので全体のコストも落とせます。

そうしてOYOの国内のプレゼンスは上がっていきます。

 

つまり、優位性の無い上記の企業群は徐々に新規顧客の獲得シェアをOYOに奪われる可能性があります。

 

しかし、これはOYOが国内の「在庫を一定数確保できた場合」です。

ある程度の在庫数を確保できないと、内製化する旨味はありませんし、ビックデータが貯まらないと、得意のテック領域の精度も上がりません。

 

現状の世界の進出数は13カ国。

在庫数の8万のうち、中国が4.7万、インド3.3万という現状からも、この2つのマーケットで相当稼いでます。

 

この新興国の実績と、日本で在庫が確保できるかどうかは別問題です。

なぜなら、日本にはややこしい慣習、法制度が邪魔します。

 

また、不動産オーナーがOYOに委託する場合は全任せになるので、OTAの一部としてOYOを利用する、という事が出来ないゼロサムなモデルであることも、在庫獲得の為のハードルの一つです。

 

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OYO のアドバンテージ】

 

OYOのOTAには、3タップでホテルが簡単に予約できるという謳い文句があります。

 

ホテルのレビューを読まずともOYOホテルなら安心クオリティ

ホテルの設備や人数ごとの値段を表示して使いやすい

ユーザフレンドリーなUI/UX

 

と、いうことで、OYO HOTEL は機能的ベネフィットを推し進めた合理的なサービスです。

 

これは、毎度お馴染みのEC業界でも、企業としての差であるところなのですが、

 

Amazon 楽天 の両方のプラットホームにCSV商品登録をしたことのある人は、「楽天Amazonのジャンルデータベースの整理の違い」という大きな差を知っています。

 

ECでは商品のジャンルによって、どのようにジャンルディレクトリを整理して、マーケティングデータに生かすかが非常に重要なわけです。これがきめ細かく整理されていると、ドリップコーヒー200g以上を買う人はパンパースのオムツを買う為にリコメンド一覧に表示する(例えばです)の様なジャンル横断的なより相関性を正確に見たマーケティングが出来るようになります。

 

より細かく意味のある正確な単位で区分け出来ることが望ましいわけです。

Amazonだと、カーテンは細かいセンチ単位であったり、似た色であるホワイトとアイボリーのカラーの統一性や「その商品ジャンルだからこそ」の区分けが楽天よりも圧倒的に多く細かく整理されています。(何故そうなっているかはここでは書きません。)

 

ここと同様の競合優位性をOYO HOTEL に感じました。

一人毎の宿泊単価設定のUIの見やすさなど、「ゲストのことを考えられた」=ユーザーフレンドリーな設定になっています。

きっと、ゲストのビックデータを取る際のデータベースが細かく正確な設計なのではないでしょうか。

 

また、タップすると Ola cans (インドのUber)が起動してサクッとホテルへのロジティクスを誘導してくれます。

 

これも、アジア〜オセアニアまで普及しているインドの食べログZomato(ユニコーン企業)でも同じ仕様です。

 

店名もよく分からん母国語じゃない人から見ると、住所打ち込むのも一苦労なので、タップしてUberが迎えにきてくれるUXはとても楽チンで素晴らしいです。

 

OYO のディスアドバンテージ

 

しかし、OYOがインドで成功した、同一基準のFFE(家具、什器、備品)などの標準化の背景にある、インドや中国のホテルへの不信感。これはUberアメリカの内需で拡大する背景と似てる気がしてまして、

競合のイエローキャブがクソすぎたからUberアメリカ国内で猛烈に成長したロジックと似ている気がします。

 

OYO はインド国内のホテルのハコ側が酷すぎたから、そこと相対的に素晴らしいサービスでインドの内需で大きくはなっているけど、Uberも日本では一部の法人しか登録できません。

このように、①法整備が厳しい ②ややこしい慣習な日本のマーケットをどう攻略してくか が求められているかと思います。

 

 

【勝手にまとめ】

 

・① 競合への影響

 【日本国内でOYOがホテルの在庫を一定数確保できた場合】

→ 徐々に民泊系企業は新規シェアを奪われる可能性高し

→ しょぼいOTAは徐々に使われなくなっていく

 

・② 鍵となる部分 法制度、慣習を超えて在庫数を確保できるか

・③ メンバー 立ち上げメンバーはめっちゃ優秀な雰囲気です

・④ 採用 日本の慣習を超えて、PMできる人材(絶対英語力は必要)を欲している

・⑤ おすすめの戦略 日本国内独自のやり方ってものがあるので、民泊代行会社(カルチャー的にPMIできそうな雰囲気の)などをM&Aした方が良さそう

 

 

 うちは割とカルチャーフィットしている気がする・・・・

 

 

株式会社dotの御子柴でした。

 

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