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世界史のケーススタディを定量的に学んだことは起業して事業を軌道に乗せる上での決断の理由として一番安全なものだった

御子柴です。

起業して3年半が経ちましたが、メインの事業というのが2回ほど変わりながら徐々に軌道に乗ってきたような気がしています。

 

仕事を誰とやるかで四苦八苦し、

仕事をやる環境で四苦八苦し、

自分の時間の使い方で四苦八苦し、

自社の事業ドメインで四苦八苦してきました。

 

そこで、四苦八苦しながらも安定して奏功したやり方をなんとか見つけてきたわけですが、当時は若者らしく、亜種で新しいやり方で上手くいってきたような気がしていました。

 

しかし、歴史の史実を因数分解して整理していくと、人類の歴史においてうまくいく王道のやり方を知らずに実践していた。

ということに後々気づく事になりました。

 

そこで、そのビジネスモデルとして上手くいった「理由」を歴史のケーススタディを紐解く事で自分の血肉とする為に、「ビジネスモデル成功の理由→歴史の教訓」という逆の発想からブログを書きました。

 

この気づきを得たのは、ライフネット生命の出口会長のお話を聞いたことがきっかけです。

 

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出口さんは大変な歴史好きで知られていて著書も多く出しています。

その中に、「全世界史講義」

「全世界史」講義 II近世・近現代編―教養に効く!人類5000年史―


という必読書があり、自分は一通り全て読んだので、その感想を下記に記したいと思います。

 

歴史をビジネスに応用していくためには


1大きな物事の因果関係(人間的な感情が根底にはある)を出来るだけ詳細に抑える
2当時の世界情勢を「相対的に定量的」に捉える


これらの2つが必要なわけですが

この本は、
歴史の感情を伴った因果関係を、当時の相対的なマーケット状況を時代ごとのGDPなどで(定量的)に抑えることが出来る構成になっています。

 

例えばですが、イギリスが大きく世界でのGDPシェアを増やすきっかけとなったアヘン戦争では、

 

産業革命後、労働者の休憩の際に砂糖入りの紅茶が必要に

つまり、紅茶が「人件費の一部のようなインフラレベルで」必要な物に

紅茶の必要性がイギリスにおいて生み出す製品の経費並みのインフラになるのでイギリスの輸入量はイギリスが労働者が必要なだけガンガン増えていく

紅茶の輸出による中国との貿易摩擦が発生

中国に対し(同レベルの必要性を持つ商品として)輸出できる商品はアヘンくらいしかなかった

諸々を経てアヘン戦争〜イギリス覇権へ)

この事件によって、世界の各国のGDPシェアでイギリスが大きく上がり、その分中国が減少して、世界中のGDPシェアが欧州に傾くきっかけとなった・・・。

 

 

このアヘン戦争に続く紅茶とアヘンの取引の趨勢ですが、紅茶のシェアを何%取れば、人口とともに確実に増えていく労働者の経費となるマーケットで、手数料の様にビジネスをインフラ化出来るか?

そして、世界のマーケットの中でのシェアが何パーセントになるか? というビジネスでもよくあるケーススタディかと思います。

 

この、伸びるマーケットでインフラとなる物を売るビジネスは、アメリカのゴールドラッシュの際にジーパンやツルハシを売るのと同じモデルだと思うので、「業として続ける事が可能な新しく出来る産業のインフラ業をどの様に作り上げるか?」という話に聞こえまして、大変面白く拝読できました。

 

ここからは自分自身の実際の話になります。

 

自分は3年半前に楽天株式会社を辞めて起業してからのマネタイズの方法というのを色々行ってきましたが、
やはりマーケットの中でも「インフラ」の部分で確実にお金を稼ぐ仕組みが必要だという当然の認識を気づくようになったきっかけが、インバウンド(訪日外国人)事業での、宿泊費の割合と必要性の高さから来ています。

(外国人旅行客ですと、日本に旅行で来た際の宿泊費が総費用の1/3くらいは支出するので。)

 

①新しく生まれる産業 (若い人がシェアを取りやすい=当時のイギリス)で、
②その産業のインフラとなる部分(訪日外国人マーケットでは、宿泊費の部分=確実に上昇する紅茶のようなマーケット) 

という①と②の2つの掛け合わさる部分でシェアを確立すること。

 

を重視して動いてきました。

 

この考えが奏功する理由は言うなれば、上記の紅茶の例(歴史)から来ています。

(紅茶の例の場合は、対イギリスへの輸出で大きな売上を上げ、業として成功していたものが、アヘンというルール違反の裏技で覆されてしまっています=自分の例にとってみれば、住宅宿泊事業法や旅館業法の緩和という新しい動きが「国単位では」起きるので、ある程度のルールチェンジは起きるのと似たような話かと考えています。)

 

もちろん、歴史の史実が起きた背景要因を根本から理解して、自社の事業を決めたわけではないのですが、

この様な因果関係を抑えてからジャッジが出来るのであれば、自分自身のビジネスへと応用していく知恵へと昇華の出来る、ものすごい価値のある勉強が出来る一冊だと思います。

 

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ただし、

延々と固有名詞の続く、出口さんの世界史講義を読むのが辛くなる人も少なからずいらっしゃると思います。

 

自分も古代編に関してはそうでした。

固有名詞がひたすら続くと、読み進めるのが疲れてくるので、画であるとかなり理解が深まる気がしました。(漫画版があったら最高です!)

 

人は誰しも、イメージから想定して文字を読み進めます。

小説を読む場合でも、その登場人物の顔は少なくともある程度イメージして読む場合が多いと思います。

 

例えば、「ヒストリエ」を読んでいるから、スキタイの騎馬戦もイメージできます。「キングダム」を読んでるから、秦の始皇帝の顔やその時の戦争の仕掛け方、戦い方、がある程度前提にありながら史実を拾います。

 

映画の「プライベートライアン」や「戦火の馬」を見ているから、第一次対戦と第二次大戦の兵器の違い、戦いの仕方がイメージ出来ます。


ヒトラー東条英機マッカーサーの見た目を知っているから、誰が何をした。という歴史も読み取りやすいです。

 

このように、イメージから認識することというのは、「文字だけの書物」を読み進める上で「非常に重要なモチベーションを持たせ続けてくれるもの」ではないかと思います。


出口さんの本を読む前に、「登場人物の顔や当時の文化など」をイメージできる状態で読むかどうかが大きな分かれ道な気がしました。

(むしろそれを知った上で読むことが教養として当然の前提なのかもしれませんが。。)

 

実際、自分は近現代の歴史が大好きで1600年以降の方が読んでいて楽しく一気に読み終わりましたが、古代となると、自分の知識が乏しかったり、イメージがしづらい時代の登場人物名がたくさん出てくる段階というのは、中々読み進めれませんでした。(昔でも、「ホークウッド」を読んでいるから、100年戦争あたりはスイスイ読める。のようなオムニバスで読める時代もありましたが。)

 

まあどちらにしよオススメです!


これからの時代、世界中が複雑に絡み合う以上、「歴史」というよりも「世界史」を学んでいくことが仕事力を高めていく上でも相関性が一番高いのかもしれません。 

 

 

 

株式会社dotの御子柴でした。