シニアのためのシェアリングエコノミー

国家というプラットホームに依存しない「個人外交」をより広げたairbnbを応援するブログです。

airbnbに代表される「宿泊費」が当時は簡単にマネタイズ出来た理由 と これからはセミプロが効いてくる理由。

 

お疲れさまです。御子柴です。

 

先日の投稿に引き続き、過去にfacebookで投稿してきた自分の考えを整理するために投稿しました。

 

下記は2016年の5月に、ミラノのスーパーホストのニコレッタ宅に宿泊した際に感じたことです。

 

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ミラノのスーパーホストのニコレッタ宅なう。

 

ニコレッタはブラジルに不動産を数件、所有しているようでして、秋冬はブラジル、春夏は故郷のミラノに住むことで寒い時期を避けて暮らしているそうですが、民泊を行うのは個室貸しのみで、自分がミラノ、ブラジルにいない間のものは貸さずに、自分がいる側の物件のみ個室貸しで貸し出すという、金銭面での遊休不動産活用の観点とは真逆の対応をしているようです。

 

ニコレッタ自身が、料理大好きでイタリアの雑誌に特集されるくらい料理上手なので、
人を招いて自慢の料理を振る舞いたい、そして、コミュニケーションをしたいというのが目的で、自分が料理を振るまえなければ、人を泊めるつもりもなさそうです。

 

料理人で食べていくということは本来難しいことかもしれませんが、民泊で来た人に料理をコンテンツとして提供して、レビューをもらって、「宿泊費」としてキャッシュを享受することは、そこまで難しくないのかもしれません。

 

民泊において、様々なコンテンツ(料理、アート、音楽など)の「セミプロ」には宿泊費の受け皿は最適なキャッシュポイントであり、「食っていく」ことも趣味の延長で出来るようになるのかもしれません。宿泊費のおかげで。 (ここまでです。)

 

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ここで言いたかったことをまとめたいと思います。

 


※下記で登場するホテルの定義は、 ブランドホテル・高級旅館・いけてる個人旅館 などの、「指名買い」でお客が来る宿泊場所は除いて考えています。

 


「民泊の宿泊費」という費用はホテルの宿泊費と同一のマーケット内にあり、そのホテル宿泊費との「相対比較」のゆえに決済されているもの。だということです。

 

ここでいう競合のホテルのプロというのが、特に「情緒的ベネフィット」の感情的な価値を生んでいません。


あるのは、「駅の近く」に「必要なアメニティのそろった」「個別の空間」を提供するホテルという箱です。


プロである要素は、この不動産の確保ができて、建築基準法・消防法・旅館業法を取得済みで保健所に許可を獲得して、
フロントと清掃の人材を確保して固定化したオペレーションを運営をしているという点なのです。

 

これらのフロント人の対応が神すぎて感動してリピートする とか、 清掃が神すぎてそのホテルに泊まると健康状態が改善するとか、そういったプロ要素はめったにないわけです。

大事なのは、そのとき部屋が空いてるかどうか。


こういったホテルのプロ に対して、
今までのホテルの競合に、「近くにいる友人の家・親戚の家」というのがあったと思います。なにしろ無料で泊まれる競合なので、ホテル側も対策のしようがありません。

 

しかし、この競合には、「人に気を使う」「そもそも近くにない」といった分かりやすいデメリットがありました。ゆえに、競合として意識がされづらい部分だったのです。

 

しかし、プラットホームとして、「場所に縛られないホテル」が登場してしまいました。 airbnbの「丸貸し」のタイプです。

 

このairbnbの「丸貸し」タイプ は分かり易すぎるくらいに(認知している人からして)通常のホテルの競合となりました。

 

その競合となった理由は、「駅の近く」に「必要なアメニティのそろった」「個別の空間」を提供しながらも、価格がホテルよりも安いからです。

 

つまり、分かりやすいくらいに、「機能的ベネフィット」の優位性しかありません。

 

ですから、ホテルの供給量が不足していたり、ホテルよりも安価な価値を提供出来れば、簡単にキャッシュを生むことができるポイントになります。

 

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これとはうって変わって、「レストラン」や「美術館」や「スポーツ観戦」などのエンタメ産業は、比較対象に、それだけでお金を稼ぐプロフェッショナルが「人」に紐付いています。

 

もちろんプロフェッショナルの程度で支払う金額も変わってきます。ミスチルなら3時間も歌を聴けば数万円。セミプロなら1000円。路上ライブならいくらもらえるかわかりません。

 

これが、エンタメ以外のジャンルであれば、満足度合いは金額と完全に比例する訳ではありません。安くても「コスパが良いから良い」という考え方もあります。

 

しかし、消費する時間は「一定以上は必要」です。

 

「クスリとも笑えないクソみたいな漫才だったけど1時間50円だったから安いしいっか。」

とはならないわけで、「時間返せー!」と言う、支払った金銭的な対価以外にも消費してしまうものがあるわけです。

 

貴重な時間を消費して、安いからという機能的な理由で、エンタメ系サービスの選択をする人というのは少ない訳です。

 

そうなってくると、エンタメ系のプロまで届かない人たちは、競合にその分野の技術で勝つしかなくなります。


そして、勝利した人の総取りで、負けると全く稼げなくなるマーケットなのです。

 

 

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しかし、上記のミラノのスーパーホストのニコレッタの家での体験はそのような考えが昇華するきっかけとなりました。

 

もちろん、ニコレッタの料理よりも美味しいイタリア料理は過去に食べたことはあります。

しかし、ニコレッタの料理を食べるためにニコレッタの家に宿泊を決めたわけではありません。


宿泊場所を決める際に、おまけの要素として選択をしたのです。

 

食事を相手の家庭で食べるという行為=ホストと会話をたくさんするきっかけになるから。です。

そして、ニコレッタ宅でした経験を省みると「料理は美味しいし、部屋おしゃれだし、話がいっぱいできて楽しくて、ニコレッタ最高やん!」と、価値=ニコレッタになりました。

 

この体験をした時点で、ミラノでの宿泊における競合はいなくなりました。

 

いくらいいホテルがあっても、僕はニコレッタの家に行きます。というか、ニコレッタに会いにミラノ行きを決めるでしょう。

 

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「宿泊費」という受け皿があれば、エンタメのセミプロも、スモールビシネスを展開することができるのです。

 

それくらい「宿泊費」というのは、大多数の競合が「機能的ベネフィット」以外の努力をしてこなかった or できなかったマーケットのものであると考えています。


(※イケてるホテルやイケてる旅館はあるにはありますが、商圏がインターネットのように境界を作らない=在庫供給量の問題で、競合数が少ないのです。)

 

もちろん、スモールビジネスを展開させるプラットホームというのは大量にあります。
クラウドワークスのような仕組みも、メルカリのようなC2C関連プラットホームはなんでも。そのようなスモールビジネスを支える受け皿にはなっています。

 

しかし、そのような「コンテンツそのものの売買」ではなく、「コンテンツが付加価値となる売買」を可能にしている受け皿で、
一定規模までマーケットが成熟しているのは「宿泊費」しかないのです。

 

そして、「コンテンツが付加価値となる売買」は、価格を下げるようなコンテンツの価値を「変えて」売る商取引ではありません。

 

ゆえに「宿泊費」の粗利は下がらずに続くのです。

 

ですから、「人に価値が紐付いている限り」は、価格競争にはなりません。

 

この紐付けには、ゲストに「情緒的ベネフィット」を持ってもらう必要があります。

 

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※飲食店の開業には保健所の営業許可・・・とかそういう話ではありません・・・。

 

 

・捕捉・

駅から物件が近い・価格が安い・部屋が広い = 機能的ベネフィット

なんか好き のような言葉で説明ができない感情的な好感 = 情緒的ベネフィット